武道のあるべきすがた

武道を通して学ぶべき人間関係について見ていきましょう。武道では、どれほど素晴らしい技術や力強さを持っていたしても、安心感や信頼感、優しさ、敬意などを相手に与えられなければ人間関係において、何の意味もないこともあるのです。例えば、武術の力量がいくらあっても、拳銃には敵わないでしょう。おそらく勝つことはできません。しかし、もし、そのような状態の際に自分自身の人間としての心の在り方を理解し、強い精神を持っていれば、相手に拳銃の引き金を引かせないということもできるはずです。力量で及ばなくても、人間性で勝ることができることもあるということです。人間を磨くことによって、拳銃を持つ相手に「この人間を殺したくない、生かしておきたい」と思わせることも可能なのです。例え異国で言葉が通じなかったとしても、佇まいや雰囲気など言葉ではなく心によって相手に何かを感じさせるということ可能であり、大切になってきます。このような力を育むことができる武道は素晴らしい文化だと考えられるでしょう。武道は心身ともに鍛えることができる、剣禅一致の修業だと多くの先人たちより唱えられています。このように、武道の修業においては心の鍛錬のみならず、それに加えて、身体で実践することの積み重ねも欠かすことができず、それが本来の武道の姿であるといえるでしょう。
現代の日本は先進国であるため、普通に生活していれば衣食住には困らず、危険にさらされることはありません。しかし、海外の発展途上国では、まだまだ、安全に生活できない国がたくさんあります。そのような環境で生きていくためには、毎日命がけで生活しなければなりません。過酷な状況の中では人間は生きるということのために全身全霊で働こうとします。そして、そのような状況の際に、身体の中の感覚をいかに見極め、鋭いものとして扱うことができるかということが生死を分けていくということです。武道は強く生きていくために必要な考え方だということがわかるでしょう。


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