国宝・古今伝授行平

平安時代前期の『古今和歌集』にちなんでつけられた古今伝授行平という号は、勇猛果敢な武士が戦で用いる太刀の名前としては、およそかけ離れた印象です。
しかし、この太刀の持ち主であった戦国武将の細川幽斎がどんな人物であったかをたどってみれば、納得がいきます。
武家の名門・細川家の当主であるのと同時に、当代一流の文化人だった幽斎は、まさに文武両道、戦も『古今和歌集』の解釈もこなす風流な殿様でした。

『古今和歌集』には、その解釈やいろいろな学説を秘説相承のかたちで師から弟子へと伝えていく「古今伝授」という伝統があります。
作者の行平は、鎌倉時代初期の豊後国の刀工で、腰元に複雑な彫り物を施 し、裏に銘を刻むのが特徴です。


Write a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です