刀剣と銘

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日本刀と鉄、その縁

日本刀と鉄、その縁

青い鉄と柔らかな鉄

青い鉄と柔らかな鉄

鉄の不思議

地球のマグマにも、私たち人間の血液中にも、鉄は働いているということを考えた事があるでしょうか。これらは、極端に表現すれば、赤く熱いイメージがあると言えるでしょう。また、「金属」という言葉から、多くの方が「鉄」をイメージするようです。さらに、ほんの少しの人が「金」をイメージするという結果が報告されているようです。

「金」「銀」「銅」は、美しい金属として特別扱いと言ってもいいほど重要視されてきたのではないでしょうか。奈良時代、山上憶良は金銀を財宝の象徴として謡っているように、銅は赤金(あかがね)鉄は黒金(くろがね)銀は白金(しろがね)金は黄金(こがね)と呼ばれていたと言います。金銀銅は世界共通の財宝というのは解りやすいですが、日本人は「鉄」を敢えて「黒金」と呼び、魅力を感じているのはなぜなのでしょうか。鉄の色を尋ねると、多くの人が「シルバー」「グレー」と答えるのではないでしょうか。それは私たちの身近にある鉄のイメージが、包丁やナイフなど、刃物からきているからと言えるでしょう。鉄は、水分に触れるとすぐに赤茶けた色になり、錆びていくことはご存知でしょう。長い間、土の中に埋められていた古墳の大刀などは、水分を含み、元の姿を想像できないほど膨れ上がり、また赤錆の塊となっていると言います。鉄が錆び易いのは、鉄の誕生に由来していると考えられているようです。鉄は、酸素の乏しい海水に溶けていたものが地上に出現した際、光合成生物の出す酸素と化合し、酸化鉄として海底に沈殿してできたものが、現在原料になっていると言われています。そう考えると、長い間、酸素と共にあった鉄は、いくら人聞が酸素を引き剥がし、炭素と組み合わせたとしても、酸素と共に大地へ帰りたがっているのかもしれないと思えてくるのではないでしょうか。

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